上海通信Shanghai Report

中国を正しく生き抜くための中国語講座~第55回「猎头」

2023年08月05日


GraphicDesign:Liya

こんにちは。Beauty Works Shanghaiの清水です。

今週のサバイバルチャイニーズは、猎头(lie4 tou2)、日本語的発音”りえとう”で、ヘッドハンティングのことです。

中国では、人材の流動は日本よりはるかに激しくて、優秀な人材ほど割と短期間にジョブホッピングします(例外多々あり)。日本ではジョブホッピングというとネガティブなイメージがありますが、中国人のメンタリティはどちらかというと欧米的で、優秀なひとほど高みを目指してどんどん職場や職業、職種を変えていきます。ただし、全く優秀ではないのに、裏付けのない本人の自信だけが先行して、勘違い的な転職を繰り返している人もいるので、注意が必要です(笑)。

ですので、中国では日本以上にヘッドハンティングは仁義なき戦いになります。例えば、日本ではあまり表立って堂々とライバル会社同士が引き抜いたり引き抜かれたりしませんが、中国では当たり前のようにそういうことも起こります。しかも、クライアントや仕事も平気で持って行っちゃったりします。仕事や顧客が、組織ではなく個人に帰属してしまっていることが多いからです。日本でやったら裁判沙汰になるんじゃないかと思うような局面も日常茶飯事で、人材獲得競争も、やるかやられるか、ノーガードの打ち合い、まさにグローバルスタンダードなのです。

中国でも昨今、コロナ禍による経済低迷で、失業率があがり、大学だけでなく大学院まで修了しても、就職できない若者が巷に溢れています。日本の昭和時代に高度経済成長を支えた、年功序列、終身雇用、家族的経営みたいな甘っちょろいシステムは、いまの中国にはほぼなく、多くは即戦力が求められます。そして、入社したらしたで、給料がいい会社になればなるほど、996的モーレツな働き方が主流で、人材を自社で長い時間をかけて育成するといった考え方は毛頭なく、自分の力で這い上がるしかないのが実情なのです。

それだけ、猛烈なスピードで世の中が動いていて、日本の5年が中国では1年くらいな感じです。明日、なにが起きるかわからない社会ですので、すべてが短期決戦です。プロ野球で言えば、ペナントレースはなくて、一年中日本シリーズをやっているイメージです(笑)。

ということで、中国の人材市場では、日々、一握りの優秀な人材を狙った猎头が繰り広げられていて、そういう人と、そうではない人の能力スキル格差、経験実績格差、所得格差は拡大するばかりなのです。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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