上海通信Shanghai Report

中国を正しく生き抜くための中国語講座~第84回「性价比」

2024年02月24日


イラスト:Liya

こんにちは。Beauty Works Shanghaiの清水です。

今週のサバイバルチャイニーズは、性价比(xing4 jia4 bi3)、日本語的発音”しんじゃーびい”で、意味はコストパフォーマンスです。

昔からある言葉ではなくて、最近出てきた外来種の新しい言葉です。”性”は性能のことを指していて、つまりパフォーマンスで、”价”は価格のことなので、つまりコスト、そして、”比”は比較のことですので、音ではなく意味を表現した中国語となります。

最近なんでもかんでも”コストパフォーマンス”が叫ばれる世の中となっているのは中国も同じです。ただ、日本人でも中国人でも結構勘違いされている方もいらっしゃるんですが、広告というのは、本来販売に直結するものではなく、販売につながる1要素となります。では、広告っていうのは何か?簡単にいえば、認知度(知名度)をアップさせたり、イメージをアップさせたりする活動です。

物が売れるのは、品質、性能、外観つまり見た目、価格、流通(販路)などが総合的に影響しますので、広告だけで物を売ることは無理なのです。マーケティングの4Pにプロモーションという要素がありますが、あえて広告に近いという意味ではこのプロモーション=販促と呼ばれる活動がそれにあたります。中国ではECが日本以上に発達しており、ゆえにECプラットフォーム上での販促合戦(広告合戦ではない)になっていて、ここではコストパフォーマンスを厳しく言われ、売上補償のような要求まで出てくるのがいまの中国なのです。直播=ライブコマースというECでの販促が一時期爆発的に流行し、中国版ジャパネットたかたのような人材が多数登場しましたが、あれは販促というよりも、バナナのたたき売り、商店街での実演販売をオンライン上でやっている感じですね(笑)。

一方、オフラインイベントや展示会などでも、昨今コストパフォーマンスが要求されるようになっています。イベントや展示会にかかかるコストに対してどのくらい売り上げに貢献したのか?という具合です。イベントや展示会は、即売会みたいなものを除いて、売上に直結する活動というよりは、本来どちらかと言えば広告の要素が強く、知名度やイメージをよくすること、ひいてはブランディングであり、その結果として売り上げがアップするのです。なので、コストパフォーマンスを厳しく要求するのはちょっと違うのかなと心の中で思ったりする毎日です。

世界が豊かになり、物が溢れ、物が売るのが難しい時代となるなかで、何事もコスパ、コスパという概念は理解しますが、人間、多少の遊び心なんかもあったほうが、世の中も個人も殺伐としないで、生きやすいのではないかと思う次第です。はい。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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