上海通信Shanghai Report

中国の医療事情についての一考察

2022年12月20日

こんにちは、Beauty Works Shanghaiの清水です。

中国では、ゼロコロナからwithコロナへの政策急転換により世の中の各種規制が緩和となりました。メリットもたくさんあると思うのですが、一時的に痛みも伴います。社会は対応に混乱し、感染者が急増、規制緩和されたのに逆に街にはひとが極端に少なく、飲食店にもお客さんはまばら、在宅勤務も増えて、オフィス街も閑散としています。群集心理は不思議です。

さて、そんな状況下、今一番みなさんの関心が高い中国の医療事情をご紹介します。簡単に崩壊してもらっては困るのです。

上海市内には大小さまざま、ローカル、外資系などの病院やクリニックがあります。ローカル総合病院には甲乙丙みたいなランクがつけられていまして、みなさん、なるべくランクの高い病院に行こうとします。

日本でも同じような傾向はみられますが、中国の医療レベルは日本の比ではないくらいエリアによって大きく異なり、大都市ではそれなりのレベルにありますが、3級都市、4級都市、辺境地に行くほど医療レベルは低下します。大都市では評判が悪かったゼロコロナ政策も、こういった医療レベルが高くない地域のことも考えた政策だとワタシは理解しています。

大都市の病院は、一昔前に比べれば、医師の技術も、使用する医療機器も、そして薬も格段にレベルアップしています。以前は死ぬの生きるの以外では、とても外国人なんか行けなかったローカル病院もいまでは外国人専用病棟とかありまして、日本の病院みたいにとても清潔できれいでだし、医師や看護婦さんも優しいし、また、ITを駆使したシステムも非常に効率よくできています。

それでも、コロナ禍となる前、日本人はなにかちょっとしたことがあると、日本の医療を受けたい、中国の薬は飲みたくない、という人なんかがたくさんいて、すぐに日本に一時帰国していました。
しかしながら、周知の通り、コロナ禍で、簡単には日中間を往復できなくなりまして、ローカルでも大学病院や日本人医師がいる日系クリニックに行くようになりました。

日本との最大に違いをあげれば、ローカル病院では、いまだに診察料を前払いします。本当かどうかわからないのですが、そうしないと、みんな金を払わないで帰っちゃうからだと聞いたことがあります。ほんとかなあ。
じゃ、外資系病院がよいかというと、費用がローカル病院の3倍とか4倍とかします。企業駐在員なら保険で個人負担がないからいいのですが、そうでない個人事業主みたいな方々は、なかなか高額の外資系病院にかかることは難しいのです。

蛇足ネタですが、ワタシは過去に2度大きな出来事で、中国ローカル病院に大変お世話になったことがあります。1回目は1997年北京で嫁さんの目にバドミントンの羽根が直撃して失明しそうになった時の北京同任医院(翌日、片目の見えない嫁さんと1歳の娘を連れて日本に緊急帰国)。2回目は2005年広州でワタシに原因不明の高熱が2週間続いて死にそうになった時の广州武装警察医院(熱帯系の伝染病を疑われて1週間厳重隔離入院)です。
細かい話をしだすと、とてつもなく長い話になるので、しませんが、嫁さんもワタシも、いまこうして、健康で生きている現実を考えると、中国医療も全然馬鹿にできないし、感謝の言葉しかありません。はい。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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