上海通信Shanghai Report

中国を正しく生き抜くための中国語講座~第94回「全球」

2024年05月04日


イラスト:Liya

こんにちは。Beauty Works Shanghaiの清水です。

今週のサバイバルチャイニーズは、全球(quan2 qiu2)、日本語的発音”ちゅえんちゅう”で、意味はグローバルです。

世界を地球の「球」としてとらえて、その前に丸ごとという意味の「全」をおいてグローバルとするのはなかなかよくできた外来中国語です。”全球”という新語が、中国に登場したのは、ここ30年くらいです。日本に登場したのもそこまで昔ではないので、そんなもんかなとも思います。

国共内戦や文化大革命によって、国内が混乱を極めた時代を経て、鄧小平氏が再登場して改革開放政策に舵を切ったのが1978年なので、そこが中国のグローバル化へのスタートだったのではないかと思います。市場を段階的に開放すると同時に、輸入投資型の経済発展を目指します。中国は、1986年にWTOの前身であるGATTへの締約国へ、その後1995年GATT失効に伴うWTOへの加盟申請、そして15年の歳月を経て正式には2001年にWTO加盟となります。加盟申請中も日本を含む外資へのマーケットの開放、ヒト・モノ・カネの自由化は段階的に進みますが、正式加盟後の経済の爆発的なグローバル化は周知のところです。つまり、全球=グローバルという言葉が登場してきたのも、この経済発展の過程においてです。

もともと中国は、香港という場所を西側経済圏との特殊な窓口として使ってきまして、そういう意味では”全球”という言葉もかなり昔から存在していたとこになりますし、その後の深圳など華南の経済特別区における「社会主義市場経済」の実験は、まさに”全球化”のはしりなのです。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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