上海通信Shanghai Report

上海的日系百貨店事情

2023年06月27日

こんにちは、Beauty Works Shanghaiの清水です。

現在、上海には、日本の百貨店というものが3つ、もともとは日本の百貨店だったけど、ブランド名も経営も完全に中国に変わったお店が一つ、日本ではそんなに有名ではないけど一時期中国で一世を風靡した流通ブランドでいまは中国資本に乗っ取られたお店が1つ、合計で5つあります。最初の3つというのが、高島屋さん、伊勢丹さん、そして大丸さんです。そして4つめがそごうさんを前身とする久光さんという百貨店、最後にヤオハンさんです。

百貨店という業態は、もともと中国にも存在していて、それなりのステータスを持っていましたが、その後流通が外資に開放されると、外資などと手を組んだりしながらしぶとく生き延び、淘汰を繰り返しながら現在に至るのです。例えば上海でいいますと、第一百貨店などです。一方、日本の百貨店も90年代から進出がはじまり、一時期は大きな勢力となるのですが、日本における百貨店ビジネスが斜陽するに伴い、ここ上海においても、その地位とプレゼンスは徐々に低下、所謂デパ地下と飲食店フロアを除いては活気を失いつつありまして、化粧品フロアもなんとかプレゼンス維持している状況です。

伊勢丹さん、大丸さん、久光(旧そごう)さんは南京西路~東路沿いつまり繁華街に位置しており、集客力はそれなりにありますが、高島屋さんは少し離れた(日本人や中国人富裕層がたくさん住む)居住地区にありまして、集客力という点においては苦しいようです。

これらは、いま、百貨店といいましても、漫画喫茶があったり、ダイソーがあったりと、日本昭和時代のステータスがある百貨店業態というよりは、日本でヤマダ電機やユニクロなんがか入っているのと同じテナント貸し業態に変容しています。

そして、最後に、ご存知の方がもうそんなにいないかもしれませんが、90年代に香港、マカオから出店ラッシュし、その後北京や上海にも拡大したヤオハンという百貨店です。あまりの急拡大により事業は行き詰まり、あっという間に市場から撤退していくのですが、いまでも上海浦東に、ヤオハン(中文名:八佰伴)ブランドの百貨店が存在します。この百貨店が日系だったことを知る中国人は恐らく希少かと思いますが、ワタシは、まだまだ日本のものがなかなか手に入らなかった90年代に、広州や北京(当時北京では赛特という店名でした)に住んでいたので、とてもお世話になった思い出深い百貨店なのです。

いま上海でも、百貨店業態は大型ショッピングモールやECに押されまくられてますが、日本同様に根強いファンも多いので、なんとか踏ん張って、生き延びて欲しいものです。

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文責
碧优缇商务咨询(上海)有限公司
COO 清水誉
慶應義塾大学法学部法律学科卒業、関西学院大学大学院経済学研究科前期博士課程
修了、経済学修士。専門は、東アジア経済、中国労働経済。
1988年株式会社ブリヂストン入社、1993年広州事務所代表、1995年北京事務所代表、
1999年株式会社博報堂入社、2005年広東省広博報堂広告有限公司総経理などを歴任
し現職。中国ビジネス30年のスペシャリスト。
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